T1 湯流性確認試験および製品試作
金型温度 約95℃ 注湯温度 約1010℃
湯流性は良い。
ガス抜き用上り部分まで溶湯が回っている。
製品部分に供給される溶湯の流速が早い方案で作成時には全体的に十分な湯回り具合であった。
鋳造用金型の方案の影響は大きい。
最終凝固部となる中子に挟まれた部位に引けが原因と思われる欠陥が発生した試作品があった。
ただしゲートの厚みや位置といった方案で解決可能な範囲と判断した。
溶湯のZnの減耗による成分のバラツキにより湯流具合が変わる印象を受けた。。
T2 テーターモールド試験
結果:良 金型鋳造対応可能
内引けは表面が滑らかな状態。
引けの最深部はカラーチェックでは赤く染まる荒い組織は見受けられない。(良好である)
外部の全体引けが大きく先端の落ち込みが大きく内引けは浅くなる性質を踏まえた方案作成が必要となる。
鋳造条件が適切でない可能性がある。
金型鋳造に適する温度域を見つける必要がある。
T3 機械的性質の確認
抗張力 260N/mm2 伸び率 29%
評価:一般黄銅材・青銅材の基準は十分に満たしている。
T4 溶湯成分の分析と確認
Cu | Sn | Pb | Zn | Bi | その他 | Cd | ||
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1. | 規格値 | 61.2-64.0 | 0.8-2.0 | – | 残部 | 0.5-2.5 | 0.28-1.55 | |
2. | 購入材料 | 63.62 | 1.33 | 0 | 34.48 | 1.54 | 0.66 | 5ppm |
3. | 溶解前 | 63.9 | 1.3 | 0.01 | 32.51 | 1.61 | 0.657 | 5ppm |
4. | 試作時 | 61.6 | 1.26 | 0.01 | 34.47 | 1.42 | 0.669 | 6ppm |
Znが減耗しCuの値が上昇する傾向になる注意が必要
本試作時は減耗を見込んでZnを追加している
T5 加工性の確認
鋳物は硬い印象がある。
切粉は細かくなる。
加工性は良好。
T6 試作品の耐圧性能評価
結果
本試作品は完全ではないがほぼ良好な結果が得られた。金型方案や鋳込み条件による耐圧性能への影響度は大きい。
予備試作
予備試作品の全数で漏れを確認した。中子砂で挟まれ最終凝固部分と思われる箇所で漏れが発生。金型と直接接する部分での漏れはなし。
本試作
肉厚の設定や金型方案による溶湯の流し方で改善可能。方案と製品の肉厚を変更した本試作品ではほぼ良好な結果となった。
結果・評価
溶湯の成分の調整管理が十分にできれば鋳造性は良い。
密閉型の低圧金型鋳造では十分に利用可能。重力金型鋳造法より低圧金型鋳造法による利用の方が容易な可能性がある。
ただし最適な注湯温度や金型温度等の鋳造条件を継続的に調査する必要がある。小物の鋳造製品であれば現状でも容易に量産化可能。
鋳造方案の重要度が高く、これまでの一般的な鉛入り黄銅(真鍮)材料とは方案の特徴を変える必要性がある。